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97. 山姥さん、お邪魔しま〜す
 【三】 山姥の滝

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  山姥さんのお宅訪問、第三弾。 今回は高知市土佐山地区にある、その名も『山姥の滝』です。 山姥の滝までは、高知市中心街からだと車で40分くらい。 土佐山地区までもアップダウンはありますが、JA土佐山支所から北に入るとますます細い山道が待っています。 滝の近くにある『ゴトゴト石』までの案内板を目印に、ガマン強く登ります。 『ゴトゴト石』は人気スポットだったので、山道は細いですが駐車場はしっかりありますよ。 人気スポットだった          なぜ過去形なのか。 そう『ゴトゴト石』、2年ほど前にニュースになりました。 押すとグラグラ動くのですが、どう頑張っても落ちないという不思議な石でした。 受験生が合格祈願に来ることで有名だったんです。 テレビ番組で取り上げられたこともあります。 そんな石を、東京の大学生たちがジャッキなどを使って無理やり落とそうとして、動かなくなってしまったのです。

76. 山姥さん、お邪魔しま〜す
 【二】 大滝山

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  滝や断崖、岩などに住み、飛ぶことができるとされる山姥。 その正体に少しでも近づきたく、住居だったといわれるところを訪ねています。 山姥さんのお宅訪問、第二弾です! 今回訪ねるのは、日高村にある大滝山。 日高村は、高知市から車で30分ほどのところ。 大滝山は標高247m、ハイキングにも人気の山だそうですよ。 山伏で知られる修験道の山としても知られているそうです。 『山姥の洞穴』は中腹にあるということで、気合いを入れて登ります! 天気予報が当たらず小雨が降っていますが、負けません。 修行、修行! 口数が段々減ってきたころから、巨石が増え始めました。 『如来岩』『地蔵岩』などひとつひとつ名前が付いていました。 分かれ道ごとに案内板を付けてくれているので迷わなくてすみました。 ありがとう、日高村。 40分ほど登ったところで『山姥の洞穴』に到着。 お邪魔しま~す! 巨石の間にできた空間で、人が過ごせそうなくらいの広さはあります。 思っていたよりしっかりした洞穴でした。 憧れの秘密基地ぐらいの大きさ(個人の感想)といいますか。

75. 山姥さん、お邪魔しま〜す
 【一】 毘沙門の滝

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  伝説巡りをしていて、「山姥」とつく地名があちこちにあるのが気になり始めました。 住んでいたといわれるところも多く、さまざまな伝説が残っています。 滝や断崖、岩などに住み、飛ぶことができるとされる山姥。 金太郎のお母さんも山姥なんですよね。 昭和世代にはおなじみだったアニメのひとつに『日本昔ばなし』があります。 日本各地に伝わるお話を、毎週2つ放送してくれていました。 その『日本昔ばなし』のインパクトが強かったので、山姥といわれて思い出すのは、赤茶色のぼさぼさ髪でガタイが良くてお餅食べている姿になってしまっています。 山姥とは何なのか、山姥の風貌はどうなのか。 答えなど出るわけはないんだけど、興味は尽きません。 高知県にも山姥話はいくつもあります。 と言うわけで、お宅訪問してみることにしました。 山姥さん、お邪魔しま~す! 今回お邪魔するのは、南国市岡豊にある毘沙門の滝です。 この滝の入り口の右側の大岩にお住まいになっていたそうです。 毘沙門の滝は『龍王院』という縁切寺の近くにあるようなので、お寺を目指します。 縁切寺という響きからひっそりとした雰囲気を想像していたのですが、ものすごくピカピカした印象のお寺が現れてびっくりしました。 山の中の神社に慣れた目には、眩しいくらいです。

69. もうひとつの四合渕

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  さて、『四合渕』の話の続きです。 前回の南国市バージョンは、百姓家のお嫁さんの悲しい物語でした。 ご興味ございましたら→ コチラ これが山続きの土佐山村に伝わったとき、少し味付けが変わってきます──── 四合渕 昔、高知から本山へぬける街道筋の遠郷という部落に、一軒の宿屋がありました。 その家の息子にお嫁さんがやってきました。 「お客がどれくらい来ても、ご飯は四合しか炊かれんぜよ。」 お姑さんからの言いつけを守って、お嫁さんは四合できちんと賄っていました。 ところがある日、お客さんが満員になりました。 困ったお嫁さんは、四合では足りないと五合のご飯を炊いたのです。 ここまでは百姓家と宿屋の違いだけで、南国市の話と流れは同じです。 ここからです。 五合のご飯を炊いたとたん、白髪のお婆さんがスッと飛んで行きました。 それからというもの、ご飯はいくら炊いても足らなくなり、お嫁さんは言いつけに背いたことを苦にして下の渕に飯釜をかぶって身投げしたのだそうです。 今にこの渕を『四合渕』、宿屋のあったところを『四合屋敷』と伝えているということです。 ・・・・お婆さん? そう、土佐山村バージョンでは謎のお婆さんが登場するんです。 変わったのはそこだけと言ってもいいくらい。

5. 猫派と犬派
 〜おいどんは犬派でごわす の巻〜

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  猫派か犬派か 時々聞かれる質問です。 民俗学の世界の猫と犬は、どんな感じでしょうか? 猫派に引き続き、犬派を探ります。 犬の怪異の話は、本当に少ないです。 あっても、飼い主のために妖怪と戦う忠犬の話ばかり。 なんでも、犬は1万5000年も前から人間に飼われていたのだとか。 猫の9500年前からに比べると、かなり長いです。 例えば、昔の漁師さんは四ツ足の生き物を嫌がった、という話はあります。 犬も、もちろん嫌がられたみたいです。 「犬」と言う事さえ嫌って、隠語(あだ名みたいなもの)で呼んでいたところもあるそうです。 あと、まろ眉とも言われる『四つ目』の犬は、年配の方の中には縁起が悪いと敬遠する人もいるのだとか。 でも、うちの愛犬も『四つ目』なのでこのジンクスはノータッチで行こうかな 笑 「四つの目で見張ってくれるので、縁起がいい」としているらしいモンゴル説を信じることにしています。 犬島とイヌジマ そんな中、唯一怪異っぽいものといえば、犬神。 狐や蛇など憑き物の話は全国にありますが、四国は主に犬神です。 取り憑かれると熱が出てうわごとを言い、動き回る姿がまるで犬みたいなのだそう。 そこで朗報。 松山秀美さん・寺石正路さん著『土佐伝説全集』には、犬神に悩まされた時の対処法が。 岡山県の犬島にある、犬の形の石にお参りすると良いと出ています。 犬島・・・? どこかで聞いたことがあるような・・・? それもそのはず。 犬島といえば、妖怪イヌジマ。 高知のアーティスト石井葉子さんが作る、怖かわいい妖怪です。 妖怪イヌジマ 今ではすっかり定着した、瀬戸内国際芸術祭。 瀬戸内のアートが動き始めた頃、2005年に犬島で生まれたのが妖怪イヌジマ。 今は美術館になっている銅の鍛錬所が、まだ廃墟だった頃だそうです。 その廃墟の黒い砂で出来ている目が、虚ろなようで、でもキラキラしていて愛らしいイヌジマです。 送られた先で住み憑き、今や全国至るところに住み憑いてるんですよ! 興味ある方は、コチラ→  https://inujima-sumitsuki.tumblr.com エピソード満載の犬島 この犬島が、これまた面白い島なんです。 菅原道真公が、筑紫に流される途中で船が遭難、犬の声に導かれて辿り着い...

4. 猫派と犬派
 〜我輩は猫派である の巻〜

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  猫派か、犬派か 時々聞かれる質問です。 民俗学の世界の猫と犬は、どんな感じでしょうか? 少し探ってみましょう! 命が9つもあるなんて言われる猫。 猫股、化け猫、猫娘。 怪異の世界では、主役級です。 瞳孔が縦に長いと怖く感じるのでしょうか。 猫、蛇、狐・・・人に取り憑く、と言われる動物は、瞳孔が細いんですよね。 ネットでチラッと見かけた宇宙人も、瞳孔が縦長だったような。 パンダやうさぎだと迫力に欠けるのでしょうか。 謎の化け物マモカ 小さい頃、宿毛(すくも)市にあった祖父母の家では、夕方暗くなって来ると「マモカが出るから早く家に入りなさい」と言われたものです。 怖ーいマモカが出るよ、と。 昔話や絵本にも全く出てこない、正体不明の妖怪マモカ。 夕刻になると、時々思い出します。 マモカと検索しても出てこない。 それでも調べてみると、『土佐お化け草紙』と言う江戸時代中期の古い書物に出てくる「まもう(まもふ)」が元になっている可能性が。 流れるような筆字なので読めませんが、『猫股』と書いてあります。 『土佐お化け草紙』の、まもふ その絵は、ファンキーなおじさん、といった風情。 ひたいに缶をくっつけちゃいそうです。 まさかの、猫要素なし。 高知歴史民俗資料館に『土佐お化け草紙』を展示してくれてるんですが、『赤猫が歳を取ってくると、このようになる』と書かれていました。 やはり、猫なのか。 猫股、深いです。 赤猫の話 出どころを忘れてしまったのですが、印象に残っている話です。 高知の山深い村のことです。 深い淵のある川が流れていて、岩と岩に板を渡しただけの橋がありました。 ある日、女の人が赤猫を懐に入れてその板を渡っていたら、猫もろとも落ちて亡くなってしまいました。 その日から、そのあたりで赤猫を見るようになったそうです。 そして、赤猫を見ると、決まって悪いことが起こるように・・・ この話で何が恐ろしいって、板だけの橋です! 山の奥の淵、渦でも巻いてそうな深い淵。 その上に板を一枚・・・・ 赤猫そっちのけで、この橋が怖い。 安心できる橋があることに感謝しかありません。 現代で言えば、『黒猫に前を横切られると悪いことが起きる』に通じるものがありますよね。 お葬式と猫 少し前までは、自分の...