97. 山姥さん、お邪魔しま〜す【三】〈山姥の滝〉

 

山姥さんのお宅訪問、第三弾。

今回は高知市土佐山地区にある、その名も『山姥の滝』です。




山姥の滝までは、高知市中心街からだと車で40分くらい。

土佐山地区までもアップダウンはありますが、JA土佐山支所から北に入るとますます細い山道が待っています。

滝の近くにある『ゴトゴト石』までの案内板を目印に、ガマン強く登ります。

『ゴトゴト石』は人気スポットだったので、山道は細いですが駐車場はしっかりありますよ。




人気スポットだった        

なぜ過去形なのか。

そう『ゴトゴト石』、2年ほど前にニュースになりました。

押すとグラグラ動くのですが、どう頑張っても落ちないという不思議な石でした。

受験生が合格祈願に来ることで有名だったんです。

テレビ番組で取り上げられたこともあります。

そんな石を、東京の大学生たちがジャッキなどを使って無理やり落とそうとして、動かなくなってしまったのです。


現在のゴトゴト石



地域の宝、みんなの楽しみを壊したのに、罰金20万でおしまいになった事件。

のどQもグラグラさせる日を楽しみにしていたので、許せていません。

腹立たしいので、『ゴトゴト石』に封じ込められていた何かに次の宿主として選ばれて呼び寄せられたのだろう、という架空の話を作って自分を慰めてます。

怒っているからって、怖い話を作っていいわけじゃないけど。




『ゴトゴト石』のそばには、桑尾自治会さんからの張り紙がありました。

切なくなりました。




しかし、今日の目的は山姥の滝です。

車を降りるとすぐ見えるので、テンション上がります。

遅めの紅葉がようやく色づき、いい景色。
山姥さん、お邪魔しま〜す!


山姥の滝


まずは、山姥の滝の伝説をば。

昔、この部落に住む男が、この近くにひえ畑を持っていました。

このひえ畑は毎年豊作続きで刈っても刈ってもすぐに穂が出て、刈りつくすことができないのだそうです。

そして、家運も不思議と上がる一方だったのだそう。




持ち主が、そのひえ畑の不思議なのを恐れて火をつけたところ、畑の中から山姥と思われる姿のものが半焼けになりながら、滝上の方に向かって飛んでいったのです。

それからはその持ち主の家もだんだん落ちぶれはじめ、家も畑も何もなくなってしまったということです。




土佐山地区の特別な方言のひとつに「山姥がつく」というのがあるのです。

思いがけない豊作が続いたり、目に見えて家運が栄えることを指す言葉なのだそう。

山姥って鯖や馬をおねだりして食べた後、お前も食ってやると追いかけてくるとか、おもち食べてる印象なんですが、ここでは福の神のようなイメージなのですね。




山姥の滝は、元は『大元の滝』と呼ばれていたのだそうです。

落差はおよそ30m。

滝の中ほどの岩屋のあたりに、かまどのようなものが二ヶ所残されているという話もあります。




滝の近くまで行きたいのですが、「山姥の滝→」という看板にしたがって進むと畑になっていて、今度は「立入禁止」の看板が。

畑も色々植えられていて、入っちゃいけない雰囲気です。


無慈悲な立入禁止の看板


山から近づこうとしますが、やはり無理がある。

ここまできたのに、近づけないなんて。

紅葉もきれいな分、もっと近くで見たかったです。

マイナスイオンも浴びられず。

完全に不完全燃焼でした。




次は下調べして来よう。

山姥の滝の上に『鳴呼(なるこ)の滝』というのもあるらしいので、またいつかチャレンジしようと思います!

玄関先まででしたが、山姥さん、お邪魔しました!




参考文献 : 桂井和雄さん著『土佐の傳説』、『土佐山村史』




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