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111. この世のたごりは、わしがあの世へ

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  百日咳が流行しています。 激しく咳き込んだり、咳症状が長引いたり。 咳って体力使うので、しんどいんですよね。 家族などに咳の発作が起こっても背中をさするくらいしかできない、というのも辛い。 早く良くなるようにと願う日が続きます。 その気持ちは、昔も今も変わらないようです。 ご利益が「百日咳」や「たごり」という神さまが、高知県内あちらこちらおわします。 「たごり」とは、土佐弁で咳のこと。 咳が出るという動詞になると「たごる」になります。 今回は、「たごり」の神さまのひとつを訪ねてみることにします。 その神さまがおわすのは、奈半利町。 高知市から、車で1時間20分ほど東に行ったところにあります。 列車のごめん・なはり線の終点でもあります。 列車なら高知駅から約1時間半です。 ちょうど昨日、奈半利にすてきなゲストハウスがあるという情報を仕入れたところです。 『junos(ユノス)』さんっていうんですって。 古民家ですってよ。 『junos』さんのページはコチラ たごりの神さまの話に戻りましょう。 その昔、勝道というお坊さんが喘息で、たごってたごって亡くなったそうです。 そして亡くなるときに、 「この世のたごりは、わしが全部あの世へ持って行ってやろう。」 と言い残したのだそうです。 「たごりで苦しむ者がいたら、わしに治してくれと願うがよい。」 と。 苦しい思いをしながら、他の人のことを思いやれるなんて。 さすがお坊さん。 頼り甲斐がありそうです。 その勝道さんのお墓が、奈半利町の中里の極楽寺というお寺にあるのです。

107. お大師さんと三躰の薬師如来

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  前回は 『残酷舌鼻物語』 として、馬路村の七人ミサキをご紹介しました。 「ベライケさま」「ハナジョーリさま」の近くにあり、目印にさせてもらった金林寺(こんりんじ)。 このお寺にも伝説がありました。 みんな大好き弘法大師さま(←個人の感想です)の登場です!

98. 面白き伝説の山、虚空蔵山

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  土佐市と須崎市と佐川町にまたがる虚空蔵山(こくぞうさん)。 頂上に電波塔が何本か立っているので、遠目からもわかりやすい山です。 土佐市の戸波(へわ)や須崎市では、虚空蔵山に雲がかかると雨が降ると言われているそうですよ。 標高は675m、頂上付近からの眺めは最高です。 目の前には横浪半島、その向こうには広々とした太平洋。 天気がいいと、遥か遠くに室戸岬や足摺岬が見えるのだとか。 いやあ、とにかく気持ちがいい景色。 山なんて登りたくないって方にも朗報、車でも行けちゃいますよ。 虚空蔵山の中腹(山頂に近いと思われる)に、鉾ヶ峯寺(ほこがみねじ)というお寺があります。 本によっては「鉾」が「矛」になっていたり、「峯」が「峰」になってたりしますが、今回はお寺の看板(山号というのかな)に従っておきます。 地元では作物を守る本尊として古くから厚い信仰を寄せているという鉾ヶ峯寺。 毎年3月21日に春季大祭が行われているそうです。 五穀豊作の大祈願もあり、お百姓さんたちに大人気のお祭りだったようです。 昭和38年の高知新聞には、「行楽と信仰かね一万五千人の人出」という記事が。 出店も出て、終日アリの行列くらいの参拝客でにぎわっていたそうですよ。 山道に一万五千人って! 当時が偲ばれる手書きの看板 その春季大祭では、稲の占クジなるものがあるそうです。 早、中、晩稲の豊凶を占って決めるのだとか。 つまり、その年は稲を作り始める時期が早いほうがいいか遅いほうがいいかを占うってことですね。 天気予報が発達した現代でも、お米の不作のニュースはよく耳にします。 仏さまに決めてもらうと心強さがワンランクアップしそうですね。 今も占クジをやっているという話を小耳にはさんだのですが、確かめてはいません。 お祭りの時期でもない平日の鉾ヶ峯寺は、侘び寂び感がただよういい佇まいの山寺。 広い境内は静寂な雰囲気で、まるで絵のようです。 夏休みの図画の宿題にぜひおすすめしたい。 鉾ヶ峯寺 この虚空蔵山には、もうひとつ壮大な伝説があるんです。 それは、約2200年前、秦の始皇帝の頃の話です。 秦の始皇帝と言われてもピンとこないかもしれませんが、漫画『キングダム』の嬴政(えいせい)といえばなんとなく分かる方もいるのではないで...

84. 神秘の岩を探すの巻

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  今回は、個人的感覚の話です。 見えるとか感じるとかのボンヤリした切り口ではない方が好みなのですが、今日は違いますよ。 とらえ方によっては怪しく聞こえるかもしれませんが、やさしい気持ちでお付き合いください。 1ヶ月ほど前、高知インターチェンジから高松方面向けの高速道路に乗りました。 そのときに気になる場所が見えたのです。 一瞬だし少し離れたところだったのですが、あそこは何だろう?と気になりました。 後で検索しようくらいで通り過ぎました。 結局、家に帰りマップを何回見ても分からずじまい。 仕方なく保留としました。 そして待ちに待った高速道路に乗る機会が訪れました。 遠出するときにしか乗らないので貴重なチャンスです。 今度こそ場所をしっかり覚えましたよ。 やはり今回も、あそこは何があるのだろう?感は漂っていました。 小さな川に関のようなものがあるように見えるんです。 そして、その上に大きな岩が見える気がするのです。 家に帰り、その辺りをマップで見てみると『斎籠岩(いごもりいわ)』の文字が。 どうやら土佐神社の祭祀が行われてきた岩のようです。 確かめずにはいられません。 次の日、さっそく行ってみました。 土佐神社は、高知の一の宮です。 神社の境内にある礫石(つぶていし)の伝説については、 『一言主のお引越し』 の回に書いてます。 しかし今回は、斎籠岩。 土佐神社の北側に行くのは初めて。 地形のせいでしょうか、空気がひんやりしています。

67. 大栃ごりやくさん巡り

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  一年に一回、高知県立歴史民俗資料館が集めた資料を一般公開してくれるイベントがあります。 今年のタイトルは『むかしの道具とものべの文化』展。 会場は香美市物部町の旧大栃高校です。 むかしの暮らしや仕事で使われていた道具を見せてもらえたり、空から見た物部の風景の写真コーナーや、物部の民話コーナーなどもあり興味深いイベントです。 今年のチラシに『大栃ごりやくさん巡り』の文字が。 「ものべ民話と歴史の会」の公文素子さんという方が案内してくれるというのです。 地元の方に案内してもらえるなんて、夢のような企画。 うきうきで予約。 11月11日、晴れ。 寒くなると言われていましたが、予報は外れて暖かい日になりました。 20人ほどで穏やかに出発です。 いただいた資料は森下さんという方が書かれた手書きの地図です。 おととし物部を探索した時にも見かけて気になっていた地図でした。 民話的なことや花のきれいな公園情報、動物出ますとか紙面いっぱい書いてくださっているので、ガイドブック代わりに持っていくとより深く楽しめると思います。 四国森林管理局のHPに『四国の山々たんね歩記』というタイトルで載っていますよ。 今回は『大栃ごりやくさん巡り』のために書いてくださったものなのだそう。 頭が下がります。すばらしい。 → 四国の山々たんね歩記はコチラ まずは『凢内(おおち)八幡』からです。 最初の印象はもちろん、なんだこの漢字は!?でした。 物部には、凢内さんという苗字があるのだそうです。 八幡さん自体は、公園の隅にある小さな神社でした。 この公園は春になると桜がきれいなんだそうですよ。