今回は、個人的感覚の話です。
見えるとか感じるとかのボンヤリした切り口ではない方が好みなのですが、今日は違いますよ。
とらえ方によっては怪しく聞こえるかもしれませんが、やさしい気持ちでお付き合いください。
1ヶ月ほど前、高知インターチェンジから高松方面向けの高速道路に乗りました。
そのときに気になる場所が見えたのです。
一瞬だし少し離れたところだったのですが、あそこは何だろう?と気になりました。
後で検索しようくらいで通り過ぎました。
結局、家に帰りマップを何回見ても分からずじまい。
仕方なく保留としました。
そして待ちに待った高速道路に乗る機会が訪れました。
遠出するときにしか乗らないので貴重なチャンスです。
今度こそ場所をしっかり覚えましたよ。
やはり今回も、あそこは何があるのだろう?感は漂っていました。
小さな川に関のようなものがあるように見えるんです。
そして、その上に大きな岩が見える気がするのです。
家に帰り、その辺りをマップで見てみると『斎籠岩(いごもりいわ)』の文字が。
どうやら土佐神社の祭祀が行われてきた岩のようです。
確かめずにはいられません。
次の日、さっそく行ってみました。
土佐神社は、高知の一の宮です。
神社の境内にある礫石(つぶていし)の伝説については、『一言主のお引越し』の回に書いてます。
しかし今回は、斎籠岩。
土佐神社の北側に行くのは初めて。
地形のせいでしょうか、空気がひんやりしています。
斎籠岩 |
途中から道が細くなりますが、ほどなく到着。
大きな岩で、きちんと説明板を付けてくれています。
土佐神社では、毎年3月11日の夕刻から13日の早朝まで斎籠祭が行われているとのこと。
現在は社殿で行われていますが、昔はこの岩だったのだそうです。
斎籠祭は、早春の田植え前に山に「おいごもり」をして忌み謹むという古い習慣の名残なのだとか。
現在も祭りが行われる日は、境内への参入を禁じ、地域の人々も鳴物を謹みひっそりと過ごすのだそうです。
由緒のある岩なのですね。
確かに大きな岩です。
しかしながら、場所も雰囲気もこの岩ではないような気がするのです。
でも第六感でたどり着いたら土佐神社の岩だった、なら格好良くないか。
もうそういう話で良くないか。
と、ゲスな方ののどQが語りかけてきます。
けれどもこの答えじゃ納得できない方ののどQが勝ち、ちょっと遠くから見てみることにしました。
分かれ道まで戻り、別の道をもう少し進んだところで見覚えのある風景が。
民家の奥に、関っぽいものがあります。
砂防ダムかなにか、とにかく関めいたものです。
予想は外れて岩が乗っかっているわけではありませんでしたが、やはりその辺りが気になります。
すると、案内板を発見。
『白岩不動堂』ここから150m
探し物は、ここで間違いなさそうです。
車を降りて、先ほどとは別の民家の横の道を登ります。
雨の後なのでしっとりとして、マムシが出るのじゃないかと気が気じゃありません。
下ばかり見ていたので、ふと顔を上げると大きな岩と古い木に囲まれた静謐な空間。
ちょっと原始的で神秘的な雰囲気というのでしょうか。
このまま入っていいものかビビってしまい、足が止まってしまいます。
マムシ注意→神秘的~→進べきか迷う→マムシ注意→神秘的~・・・
を繰り返しながら、ようやく不動堂にたどり着きました。
顔を上げるとこの景色が |
大きな岩のそばに立つ不動堂。
しんとした空気に背筋が伸びます。
もうほんま失礼します、すみませんなどとブツブツつぶやきながら手を合わせました。
パワースポットとは、こういうところを指すのでしょうか。
神聖な感じのする場所でした。
白岩不動堂 |
この不動堂は、土佐神社の隣にある善楽寺の飛び地境内なのだそうです。
善楽寺は、四国八十八ヶ所の三十番札所。
昔は、土佐神社の別当寺だったそうです。
別当寺とは、神仏混合の時代に神社を管理するために置かれた寺のこと。
明治初めの廃仏毀釈によって廃寺になってしまい、紆余曲折ありましたが1994年に札所に返り咲いたお寺です。
一度廃寺になってしまったからか、善楽寺の資料が少ないんですよね。
となると、白岩不動堂についてもなかなか探しきれない。
Wikipediaには「昼でも暗い幽谷にある聖地で、石の不動明王が祀られている」とあります。
なるほど聖地という言葉がしっくりくるような気がします。
石の不動明王さん、岩のそばに祀られておりました。
もう一回、マムシのいない時期にゆっくりお邪魔させてもらおうと思います。
岩のそばに不動明王さん |
さて、与太話を長々と聞いていただき、ありがとうございました。
神社仏閣もたくさんあるので、勘だけで歩いても行き当たるのは当たり前です。
でも、第六感でたどり着く遊び、楽しいんですよね。
高速道路では、くれぐれもよそ見しないでくださいね!
参考文献 : 瀬戸内海放送編『歴史の旅 四国八十八ヶ所』、土佐神社HP、善楽寺HP、Wikipedia
コメント
コメントを投稿