一年に一回、高知県立歴史民俗資料館が集めた資料を一般公開してくれるイベントがあります。
今年のタイトルは『むかしの道具とものべの文化』展。
会場は香美市物部町の旧大栃高校です。
むかしの暮らしや仕事で使われていた道具を見せてもらえたり、空から見た物部の風景の写真コーナーや、物部の民話コーナーなどもあり興味深いイベントです。
今年のチラシに『大栃ごりやくさん巡り』の文字が。
「ものべ民話と歴史の会」の公文素子さんという方が案内してくれるというのです。
地元の方に案内してもらえるなんて、夢のような企画。
うきうきで予約。
11月11日、晴れ。
寒くなると言われていましたが、予報は外れて暖かい日になりました。
20人ほどで穏やかに出発です。
いただいた資料は森下さんという方が書かれた手書きの地図です。
おととし物部を探索した時にも見かけて気になっていた地図でした。
民話的なことや花のきれいな公園情報、動物出ますとか紙面いっぱい書いてくださっているので、ガイドブック代わりに持っていくとより深く楽しめると思います。
四国森林管理局のHPに『四国の山々たんね歩記』というタイトルで載っていますよ。
今回は『大栃ごりやくさん巡り』のために書いてくださったものなのだそう。
頭が下がります。すばらしい。
まずは『凢内(おおち)八幡』からです。
最初の印象はもちろん、なんだこの漢字は!?でした。
物部には、凢内さんという苗字があるのだそうです。
八幡さん自体は、公園の隅にある小さな神社でした。
この公園は春になると桜がきれいなんだそうですよ。
少し歩いて、次は『阿弥陀堂』です。
もともとは違う場所にあったお寺が廃寺になり移転。
そこでも廃仏毀釈の影響を受け移転。
現在の場所に落ち着いたのだそうです。
阿弥陀堂のそばの三体並んだ石仏でしょうか、こちらがご利益があるといわれているそうですよ。
何のご利益かは分からないそうです。
そこ肝心なところ 笑
そこからまた歩いて、今度は八王子宮です。
大栃の産土神なのだそうです。
当地の領主だった公文兵庫の祖先が、御神体を背負ってこの地に祀ったのが始まりなのだとか。
境内にある土俵では、晩秋に行われる火鎮祭奉納相撲が有名なのだそうですよ。
最後は、阿闍梨様の大きなムクの木を見に行きました。
八王子宮から少し歩きます。
ところどころに柚子の畑がありました。
有名どころの馬路村や北川村に隠れていますが、物部町も柚子の産地なのだそうです。
都会の料亭などに使われているということで、県内でもあまり知られていません。
このムクの木が圧巻でした。
四方八方に枝が伸びていて、大きく広がっているんです。
近くで撮ると一部しか入らないので普通の写真にしかなりません。
なんでもこのムクの木はその昔、山津波のため押し流されてきて上下が逆さになって生き続けているといわれているそうです。
つまり大きく広がった枝は、元は根っこだったということですね。
それもそうかもと思わせるような枝ぶりなんですよ、これが。
でも根っこが枝になることってあるんでしょうか?
確かに木って本当に強いものだと常々思っているのですが。
全国にも『逆さ』といわれている木があるようですね。
気になる気になる。
根回り7m、幹回り5.7m、樹高20m、そして樹齢400年。
昭和47年に県の天然記念物に指定されているそうです。
阿闍梨様というのは偉いお坊さんのことですが、ここは神社形式。
廃仏毀釈より昔の時代が透けて見えるところって好きなんですよね。
龍を祀っているともいわれているそうです。
ムクの木の下にご近所の方が、「ごりやく巡りの皆さんへ」とお接待の柚子を置いてくれていました。
なんて嬉しい心遣い。
四国では、八十八ケ所巡りをするお遍路さんに差し入れをしたり、休む場所を提供することを『お接待』と呼びます。
初めていただいたお接待、温かい気持ちになりました。
『大栃ごりやく巡り』大満足でした!
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