37. 和食川の向かい地蔵様

 


高知市より40分ほど東に行くと、芸西(げいせい)村があります。
そして芸西村には、琴ヶ浜(ことがはま)という良い景色の浜があります。

松の林と太平洋、気持ちいいったらありゃしない。
気分転換したい時には海に行く──────

キザっぽいですが、そんな高知県民多いんじゃないでしょうか。




琴ヶ浜、4kmほどある長い浜なんです。

芸西村の和食(わじき)地区に『かっぱ市』という道の駅があって、その横の道からも琴ヶ浜に行けます。
その『かっぱ市』の裏手に、お地蔵様を発見。
なになに、『向かい地蔵』とな。
ちゃんと説明板もついてます。




「昔の和食川には橋がなく、川を渡っている途中で流される人もいた。
江戸時代のいつの頃からか、亡くなった人の成仏と旅人の安全を願って、お地蔵様が両岸に向き合うように建てられた。
この二体のお地蔵様は、向かい地蔵とも見合い地蔵とも言われている。」





振り返ってみると、確かに!
おそろいの赤い帽子をかぶったお地蔵様の姿が見えます!
向かい地蔵って初めてみたので、テンション上がります。
対になっていると狛犬とか仁王様みたいで、守ってくれそう。





「高知県は雨の多い地域で河川の災害が頻発するため、川での安全を願って両岸から見守る向かい地蔵(見合い地蔵)がよく見られます。」
と書いてあるサイトもあって、そうなのかと納得。

川の近くのお地蔵さんは、相方がいないか見てみることにします。
このページです→https://kune40010.jp/archives/spot/167




和食川も、その昔お遍路さんが四名流されて、三名は助かったけど一名は行方知れずということがあったという話が残っているそうです。

すぐそこが海ですからね。
しかも、きれいな浜って離岸流ありがちですし。




和食川は普段は水量が少なく、日照りが数十日続くと空になるほどなのに、大雨が降ると暴れ川に変身するジャジャ馬だったらしいです。

台風になると、海から高波が逆流、山からの大水とぶつかって芸西平野を飲み込むのだそうです。

海水+泥水・・・悪夢ですね。
現在は、大工事の末ジャジャ馬ならしに成功しています。
でも、そんな暴れ川に橋がなかったなんて、恐ろしい~。




芸西村より東の安田町にお姉さんがいた坂本龍馬や、北川村の実家から高知城下に行く中岡慎太郎も、和食川を渡ったのかもしれないと説明板に書いてあります。
想像すると面白い~。
しかも龍馬の死後、妻のお龍さんは一時期この辺りに住んでいたそうですよ。
琴ヶ浜の松原で、龍馬のピストルを撃っていたとか。
うーん、ジャジャ馬か?




明治二十年代、向かい地蔵よりもう少し北に橋が架かりました。
安心して渡れるようになりました。
でも、今も飛石がいい感じに並んでいて、ちょっとワンパクに川を渡ることもできます。
昔を偲びながら渡ってみました。





川岸にかっぱの像があります。
かっぱも出るのだとか。
いや、危ないので、カッパが出ると子供を脅していたとの噂も・・・
上にはJRも通っていて、汽車がゆっくり走っていきます。
右を見ても左を見ても、お地蔵さんが見守ってくれていて。
のどかで良い風景です。




川を渡って、もう一体のお地蔵様のところへ。

大きなウバメガシの木が枝を広げていて、気持ちよさそうな木陰。

大木とお地蔵様、絵になります。
東と西どちらのお地蔵様にも、お花が供えられています。
時代が変わってもお役御免ではないところが、いいなあと思います。





おそろいの赤い毛糸の帽子をかぶった向かい地蔵様たち。
冬のお地蔵様って、赤い帽子をかぶっておられることが多いですね。
誰かが編んでいるのだろうと思うと、心が温かくなります。
赤がお似合いなのだけど、他の色はどうなんだろう。
シマシマとか、模様入りなどはいかがでしょう。
赤は、魔を除ける色ですし。
やっぱり赤だね、って事に落ち着きそうですけどね。



参考文献/ 門脇鎌久さん著『広報げいせいコラム全集』

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