91. 謎の昔話と、おちよ地蔵
高知市をの真ん中を流れる鏡川。 昔は坂本龍馬も泳いだらしいですぜよ。 龍馬の辺りより西にある鏡川橋の少し上流に、大きなイチョウの木と2体のお地蔵さんがおわします。 人柱になったおちよさんを祀る『おちよ地蔵』です。 その昔、大雨で鏡川が氾濫するとここにかけた橋が流されてしまうのだそうです。 どうしても橋をかけることができません。 困った村長さんと村人たちは相談して、人柱を立てようということになりました。 村長さんは、 「今から一番初めに来た人を人柱とする」 と言いました。 村長さんは、自分の娘がお弁当を持ってきてくれる時間であることがわかっていました。 そして時間通り娘さんがやってきたのです。 娘さんも父の思いを汲み、人柱になりました。 それからというもの、橋は壊れなくなりました。 人々は、供養のためにお地蔵さんを立てたということです。 みたいな話を、のどQは小学生の頃に母から聞きました。 その村長さんの覚悟と娘さんの自己犠牲がやたら琴線に触れて、この話を思い出して何度涙ぐんだことでしょう。 人柱なんて想像を絶する恐ろしさだし、自分だったら泣き叫んで父を恨みます。 村人の誰かにその重荷を負わせまいとする二人の献身が、気高く思えたのです。 この付近を通るたびに村長さんの娘を思い、胸がいっぱいになっていました。