大杉とか夫婦杉を調べていると『桑ノ川』という地名が2ヶ所出て来て、面白い偶然だと心に残っていました。
ひとつは南国市桑ノ川の鳥居杉。
そして津野町桑ノ川の夫婦杉です。
前回は、南国市の鳥居杉に辿りついた話でした。→こんな話
どうせならもう片方にも行ってみようと、のこのこ出掛けてみましたよ。
というわけで、津野町桑ノ川の夫婦杉の巻、はじまりはじまり。
『夫婦杉』と呼ばれるからには、鳥居の後ろに二本の杉が並んで立っているオーソドックスな風景を思い浮かべます。
迷うのが好きなのでナビは使わず、ウロウロすること20分。
ようやく大杉への道の入り口を発見。
ちゃんと小さな案内板をつけてくれてました。
ありがたや。
ものすごい山道を覚悟していたのですが、ほどなく到着。
秋祭りの時期は、神社にノボリが立つので見つけやすいです。
ノボリが旗めいてるの、格好いいですよね。
え?何も感じないですか?
おかしいなあ 笑
とにかく『三所神社』と書かれた青いノボリが、晴れた山間の風景に映えていました。
鳥居の後ろに二本の杉が立っていました。
大きくて立派です!
ただ、想像していたより距離が近い。
杉の間から階段の全景が見えない。
思ってたよりくっついてる・・・。
面白い距離感です。
鳥居横に杉の由来を書いてくれていました。
この辺りを赤木地区というそうですが、とある赤木のお百姓さんが出雲参拝の帰りに突然病気になってしまいました。
頼るものもないので知らぬ間に握っていた小石に祈ったところ、たちどころに苦痛が去りました。
このお百姓さんはこの小石を持ち帰り、祠にお祀りしました。
ところが小石はなぜか成長。
祠を大きくしなければならなくなりました。
なのにまた成長、そして改築。
これを繰り返す間に、そのお百姓さんの家も繁栄していったそうです。
ある時、大工さんに頼んで社殿を造営しました。
大工さんは完成した社殿を守りたいと、石を鉄槌で打ち砕き成長を止めたのだそうです。
その石の神意が「吾に代われ」と二本の杉に乗り移り、今も成長を続けているということです。
そんな罰当たりなことをしたら大工さんに何かありそうなところですが、和やかに収まってよかったです。
これからも成長を続けたら、通りぬけが難しくなる日も来るのかな。
・・・なんて、そんな訳はない。
別の結末も見つけました。
石を壊した大工さん、悪寒に襲われぶるぶる震え出したのだそうです。
恐ろしくなり鳥居の外まで逃げ出したところで、頭が割れて死んでしまいましたとさ。
神社の御神体である高さ1mあまりの石の上部は壊されていて、破片の方も残っているそうですよ。
やはり、罰は当たるのですね。
杉の間を通り、社殿を見上げると人がたくさんいました。
ちょうど秋祭りの日だったんですね。
皆さん忙しそうに用意をされていました。
その内のひとりのおばあちゃんが
「今は2本になってしもうたけど、私らあの小さい頃は杉の木が4本ならんじょった。」
と話してくださいました。
ということは、『夫婦杉』ってわけでもないのかも。
石の神意も4本のうちの2本に乗り移ったのかしら。
4本の杉がドーンと立っているのも格好よさそうですけどね。
『夫婦杉』でもいいのですが、エピソードに沿った名前でもいいのかな。
ネーミングしだいで、もっと親しんでもらえそうな気がするんですよね。
石神杉とか石魂杉とか。
大きなお世話すぎ。
村の秋祭り、ハレの雰囲気が伝わってきてちょっと気分が上がりました。
帰りは国道沿いの『JACKSONスコーンズ』さんで美味しいスコーンを買って、ますます気分アップ。
桑ノ川大杉巡り、これにて終了です!
参考文献 : 広谷喜十郎さん著『土佐史の神々 第二集』
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