64. 龍石神社(feat. 牧野富太郎)

 

高知市から西に少し行くと、日高村があります。

小さい村ですが、美味しいトマトや芋屋金次郎の芋けんぴ、オムライス街道、高知の二宮・小村神社に、忍者茂平の伝説と個性豊かなところです。




そんな日高村の地図を見ていたら、竜石という地名を見つけました。

しかも、その向かいは九頭ですって。

あっちもこっちも伝説の香り~

その竜石地区に『龍石神社』と書かれています。

あれ?その辺りに神社あったかしら?

などと思いながら、行ってきます!




道路わきにある大きめの祠が気になっていた場所でした。





まさか、その上の茂みに神社が隠れていたなんて!

緑に覆われているからか、鳥居が西にあるからか(?)、気づきませんでした。

さすが、忍者茂平の村です。





鳥居をくぐると、参道は木に包まれています。

若い木はお行儀良く並んでますが、山の木がなかなかの勢いで。

最近の大雨で崩れそうな山肌が少し怖いです。

興味だけでウロウロしている邪な人間に向かって落ちてきそうじゃないですか。

後ろめたさいっぱいの人間に、わさーっと。

そんなことを考えてしまい、参道に似つかわしくない挙動不審な動きで進みます。

よかった、道から見えなくて。





地元では『お龍さん』と呼ばれているそうです。

屋根の上の「龍」の文字がかっこいい。





この龍石神社の斜め前に見える山に土岐城(とぎじょう)があったそうです。

その城を攻めあぐねていた長宗我部元親公は、神社のあるこの地で竜の頭の形をした石を見つけます。

これで勝ちを確信した元親公。

兵を集めて必勝を祈願し、土佐一国平定したら神として祀ることを誓ったそうです。

士気が高まった兵たちは、一気に土岐城を攻め落としました。

そして誓約通り神社下の祠に納めたのだとか。

この時の石が『竜の口』と呼ばれる御神体なのだそう。

日高村の文化財になっています。




この竜石に水をかけると暴風雨が起こると恐れられていたんだそうですよ。

逆に日照り続きで困った時は、水をかけて雨乞いすると霊験があったといわれているそうです。

面白い!






ところで、朝ドラにもなっている牧野富太郎博士。

随筆にこの辺りの話が出てくるんですよ。

高知市と、富太郎さんの出身地・佐川町の間にあるのが、この日高村。

富太郎さん、佐川まで夜中に歩いて帰るのが一時期マイブームだったようで。

ある夏の日、夜中の3時くらいに「御竜様」の辺りを通りかかると、向こうの灌木が茂った湿地の方に、静かな光の弱い火がじーっと沈んだように見えたんだそうです。

この辺りは「ケチビ」が出るといわれている地域。

富太郎さん自身も「ケチビ」だろうと思ったようです。




「ケチビ」とは、高知に残る妖怪絵巻『土佐お化け草紙』にも載っている怪火のことです。

この絵巻では、鬼火と書いて「ケチビ」とふりがながふられています。

昔は火の玉を見たって話もよく聞いたんですけどね。

現在は、あまり聞きません。

やっぱり夜中の3時に歩かなきゃかしら。




富太郎博士は、怖いより好奇心がまさりそうですね。

他にも怪火を見た話がいくつか載ってます。

青空文庫で読めますよ。→コチラ




さてさて、高知では現代企業さんのレストランは不動の人気があります。

高知市を中心にいくつもお店があるのですが、日高村の「レストラン高知」もそのひとつです。

色んなお店で工夫を凝らしたオムライスが食べられるのが、日高村名物”オムライス街道”。

「レストラン高知」もエントリーしています。

そして2種類あるオムライスのひとつが、その名も『龍石オムライス』。

『龍石オムライス』の売り上げのうち5円が龍石神社に寄付される仕組みなのだそうです。

すてきな取り組みです。

崩れそうな山肌のために、貢献しに行かなければ!



参考文献 : 

『広報ひだか 2023年6月号』

市原麟一郎さん著『土佐の神仏たんね歩記』

Wikipedia



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