昔々、神さまが乗られた石船が降り立ったところにある神社
なんと神秘的な伝説でしょうか。
鷹が飛んできたり、御幣が飛んできたり、蹴られた竜が飛んできたり、今までも飛来パターン様々ありました。
神さまが大空を石船でやってくるなんて、これまたドラマチック。
安直なイメージで浮かんだTOKIOの『宙船』を口ずさみながら出発です。
その神社の名は、天忍穂別神社(あまのおしほわけじんじゃ)。
石船さま、石船神社とも呼ばれています。
高知市中心部から車で30分くらいのところにある香南市香我美(かがみ)町にあります。
このあたりのミカンは美味しいことで有名。
「ミカン狩り」の看板もいくつか見かけましたよ。
| 天忍穂別神社 |
すごい山道ってほどではありませんが、細めの道をくねくね進みます。
「石船神社700m」の小さな看板があったので、曲がって小さな橋を渡ります。。
そのまま民家の横を通り、Googleマップが点線になっているところまで。
ここに「あと0.2km」の看板が。
近くのおじさんに聞いて車を置かせてもらい、そこからは歩くことにしました。
おじさんも教えてくれたんですが、、この0.2kmも本当は車で行けます。
道は狭いけど、駐車場もありますし。
いい天気だったので、のんきに散歩。
本殿があんなところにあるとも知らずに・・・
到着して、少し大きめの狛犬たちと鳥居の後ろに本殿があるかと思いきや。
| 鳥居と狛犬 |
ものすごい石段が登場!
これまた(ひざが)死ぬ前に行くべきスポットですね。
やれやれだぜ。
がんばれ、ひざ。
| 本殿がはるか上に |
一歩踏み出す前にふと横を見ると、なんとモノレール(モノラック)が設置されているじゃありませんか!
石段の横にレールが敷かれて、上まで続いています。
地元の方たちの足腰が弱っても、神さまにお参りできるシステム完備!
さすがミカンの里。
神さまは石船で、地元の方はモノラックで。
なんかいいなあ、こういうの。
※すべて憶測です。
| 乗り慣れてないと怖そうなモノラック |
しかしモノラックは、地元の方たち用。
※あくまで憶測です。
気合を入れて、さあ、登りますよ!
では、このあたりで石船さまの由来をば。
石船に乗って降りてこられたのは、天照大神(アマテラスオオミカミ)のお孫さん饒速日尊(ニギハヤヒノミコト)。
『千と千尋の神隠し』のハクを思い出すお名前。
いや、逆なんだけど。
石船で大空を天翔て、河内の国のある山にお降りになり、その後大和の国の桃尾山のふもとのしばらく留まられ、やがて父神の天忍穂耳尊(アマノオシホミミノミコト)を慕って土佐の国にお降りになったと伝えられています。
土佐の国でも、最初にお降りになったのは上岡山。
現在の香南市野市町にある低い山です。
そして、三宝山の東側の富家村に入られ、西川→長谷→峠→末延→山川と来て、現在のお社にお着きになったのだそうです。
石船なら山の移動も早いですよね。
| 天忍穂別神社 |
大神がお乗りになったと伝えられる石船が境内にあると聞き、付近をウロウロ。
しかし、難敵のひっつき虫(服にくっつく草のこと)が行手をはばみます。
最近、厄介なタイプのひっつき虫が増えましたよね。
これかなーと撮った岩は、後で調べると石船ではなく棚機神社のようでした。
| 大きな岩、棚機神社なのだろうか |
石船さまは、昔から航海の神さま、そして疱瘡の神さまとして崇敬されてきたそうです。
疱瘡とは、天然痘のことでしょうか。
怖い病気です。
昭和の地図帳には雨乞いの文字もあるので、もしかしたらそのご利益もあるのかもしれません。
県内に21社ある、延喜式神名帳に記載されている式内社のひとつです。
階段は何度か休まないと上がれないキツさですが、見上げたときに緑の間からのぞく本殿は本当に美しい。
階段には手すりも付けてくれているので、ボケーっと見上げても安心安全。
本当に助かります。
| 緑の間の本殿 |
登りきったときの静謐な雰囲気も、いいです。
饒速日尊(ニギハヤヒノミコト)は、ここに降り立ったのですね。
石船で来たいと、ひざが笑いながら言いましたとさ。
その他の飛来神の話も、いかがでしょうか?
◯鷹が飛んできたり → 30. タカの神社に詣でたが、タカの夢は見えず
◯御幣が飛んできたり → 89. 海に沈んだ伝説
◯蹴られた竜が飛んできたり → 42. 高峯神社と、宇佐の竜
参考文献 : 桂井和雄さん著『土佐の傳説』、香我美町史、高知県万能地図〈新版〉
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