114. 天翔る石船 〜 天忍穂別神社 〜

 

昔々、神さまが乗られた石船が降り立ったところにある神社                      

なんと神秘的な伝説でしょうか。




鷹が飛んできたり、御幣が飛んできたり、蹴られた竜が飛んできたり、今までも飛来パターン様々ありました。

神さまが大空を石船でやってくるなんて、これまたドラマチック。

安直なイメージで浮かんだTOKIOの『宙船』を口ずさみながら出発です。




その神社の名は、天忍穂別神社(あまのおしほわけじんじゃ)。

石船さま、石船神社とも呼ばれています。

高知市中心部から車で30分くらいのところにある香南市香我美(かがみ)町にあります。

このあたりのミカンは美味しいことで有名。

「ミカン狩り」の看板もいくつか見かけましたよ。


天忍穂別神社


すごい山道ってほどではありませんが、細めの道をくねくね進みます。

「石船神社700m」の小さな看板があったので、曲がって小さな橋を渡ります。。

そのまま民家の横を通り、Googleマップが点線になっているところまで。

ここに「あと0.2km」の看板が。

近くのおじさんに聞いて車を置かせてもらい、そこからは歩くことにしました。

おじさんも教えてくれたんですが、、この0.2kmも本当は車で行けます。

道は狭いけど、駐車場もありますし。

いい天気だったので、のんきに散歩。

本殿があんなところにあるとも知らずに・・・




到着して、少し大きめの狛犬たちと鳥居の後ろに本殿があるかと思いきや。


鳥居と狛犬


ものすごい石段が登場!

これまた(ひざが)死ぬ前に行くべきスポットですね。

やれやれだぜ。

がんばれ、ひざ。



本殿がはるか上に


一歩踏み出す前にふと横を見ると、なんとモノレール(モノラック)が設置されているじゃありませんか!

石段の横にレールが敷かれて、上まで続いています。

地元の方たちの足腰が弱っても、神さまにお参りできるシステム完備!

さすがミカンの里。

神さまは石船で、地元の方はモノラックで。

なんかいいなあ、こういうの。

※すべて憶測です。


乗り慣れてないと怖そうなモノラック


しかしモノラックは、地元の方たち用。

※あくまで憶測です。

気合を入れて、さあ、登りますよ!




では、このあたりで石船さまの由来をば。

石船に乗って降りてこられたのは、天照大神(アマテラスオオミカミ)のお孫さん饒速日尊(ニギハヤヒノミコト)。

『千と千尋の神隠し』のハクを思い出すお名前。

いや、逆なんだけど。

石船で大空を天翔て、河内の国のある山にお降りになり、その後大和の国の桃尾山のふもとのしばらく留まられ、やがて父神の天忍穂耳尊(アマノオシホミミノミコト)を慕って土佐の国にお降りになったと伝えられています。




土佐の国でも、最初にお降りになったのは上岡山。

現在の香南市野市町にある低い山です。

そして、三宝山の東側の富家村に入られ、西川→長谷→峠→末延→山川と来て、現在のお社にお着きになったのだそうです。

石船なら山の移動も早いですよね。


天忍穂別神社


大神がお乗りになったと伝えられる石船が境内にあると聞き、付近をウロウロ。

しかし、難敵のひっつき虫(服にくっつく草のこと)が行手をはばみます。

最近、厄介なタイプのひっつき虫が増えましたよね。

これかなーと撮った岩は、後で調べると石船ではなく棚機神社のようでした。


大きな岩、棚機神社なのだろうか


石船さまは、昔から航海の神さま、そして疱瘡の神さまとして崇敬されてきたそうです。

疱瘡とは、天然痘のことでしょうか。

怖い病気です。

昭和の地図帳には雨乞いの文字もあるので、もしかしたらそのご利益もあるのかもしれません。

県内に21社ある、延喜式神名帳に記載されている式内社のひとつです。




階段は何度か休まないと上がれないキツさですが、見上げたときに緑の間からのぞく本殿は本当に美しい。

階段には手すりも付けてくれているので、ボケーっと見上げても安心安全。

本当に助かります。


緑の間の本殿


登りきったときの静謐な雰囲気も、いいです。

饒速日尊(ニギハヤヒノミコト)は、ここに降り立ったのですね。

石船で来たいと、ひざが笑いながら言いましたとさ。




その他の飛来神の話も、いかがでしょうか?


◯鷹が飛んできたり → 30. タカの神社に詣でたが、タカの夢は見えず

◯御幣が飛んできたり → 89. 海に沈んだ伝説

◯蹴られた竜が飛んできたり → 42. 高峯神社と、宇佐の竜




参考文献 : 桂井和雄さん著『土佐の傳説』、香我美町史、高知県万能地図〈新版〉


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