世の中には有名な兄弟や姉妹がたくさんいます。
一緒にオリンピックでメダルを取ってしまうなんてことも。
神様界で代表的なのは、天照大神(アマテラスオオミカミ)、月読命(ツクヨミノミコト)、須佐之男命(スサノオノミコト)の姉弟でしょうか。
神社同士が姉妹というパターンもあるんですよ。
それがなかなか個性的な姉妹が多くて面白いんです。
今回は4組の姉妹を紹介します。
【河内神社と仁井田神社】
こちらは高知市土佐山にある神社です。
仁井田神社が妹で、河内神社がお姉さんなのだそう。
仁井田神社の秋祭りには「神相撲」や「碁盤振り」など、地域に古くから伝わる奉納芸が見られるそうです。
なんでも仁井田神社の夫神の地位が高く功績があったため、祭礼がより華麗に行われてきたのだとか。
夫神の地位で変わって来るものなのですね。
ママカーストという言葉が頭をよぎりました。
神様も大変なのかもしれないと思ってしまうような、人間くさい裏話です。
【星神社と星神社】
こちらは高知県東部の安芸市。
井の口の山田にある星神社がお姉さんで、妙見山の星神社が妹なのだそうです。
妹である妙見山の星神社が、なかなかの『はちきん』らしいですよ!
『はちきん』とは、気が強くて男勝りな女の人を指す土佐弁です。
お姉さんの方の星神社 |
昔は12時か1時になると、妙見山から「トントン」と太鼓の音が近寄って来るのだそうです。
そして神社の上に来たら鳴り止むのだとか。
それがくると、人の目には見えないような『吊りモッコ』が地面に敷かれていて、そこに人が上がったらサーーッと引き上げられるというのです。
映画とか漫画で見たことがあるような罠ですね。
それは恐ろしかったようですよ。
昔は山の下におられたようですが。
「お祀りしてもらっても、馬や牛のおしっこがかかるような場所はイヤ!」
と、妙見山に上がったのだそう。
お姉さんと同じ南向きにお祀りされるのも気に入らなかったようで、お堂の向きは南向きですが御神体は北向きなのだそうですよ。
「妹さんはえらかった!」とのこと。
『えらい』は、土佐弁で強いという意味。
敵わないくらい強いというニュアンスが入る気がします。
【伊豆田神社と伊都多神社】
『いづた三姉妹』の回でも書かせてもらった神社です。
次女の南国市前浜にある伊都多神社と、三女の南国市田村にある伊都多神社の仲が悪いのだそうです。
昔の話ですが、お祭りの際に三女神が次女神の境内に石を投げ込んでいたそうですよ。
なかなかに激しいですね。
ちなみに長女の伊豆田神社は土佐清水市にあるので、いざこざには不参加。
高知県に21座ある式内社のひとつですし、穏やかに見守っていたのでしょうか。
上が前浜、下が田村の伊都多神社 |
姉妹だと、どうしても妹が自由度が高くなってしまいがちなのは神様も同じなのかな。
もちろんお姉さんが個性的な神社もあります。
【森神社と岐神社】
こちらも『ごんげんさんと、ここのえさん』の回で紹介させてもらった神社です。
高知市春野の西畑(さいばた)にあります。
こちら、お姉さんの森神社に逸話が多いんです。
山の上にある神社ですが、ご機嫌斜めのときは下を通る人の帽子を飛ばしたり、肥おけを持った人を転ばせたり。
機嫌の良いときは、真夜中に山の上から鼓の音がするんだそうですよ。
妹さんの岐神社は、無事の帰還を願う人から人気の神社だということです。
岐神社について詳しくは『ただ無事を願う』の回で。
妹といわれる岐神社 |
姉妹神社、エピソードが面白すぎてクセになりそう。
また探してみようと思います!
参考文献 : 高知県中央地区文化財保護連絡協議会『郷土の社寺』、『安芸の民話』、桂井和雄さん著『生と死と雨だれ落ち』、市原麟一郎さん編著『伊野・春野伝説散歩』、オリエントホテル『工石山直販所』
今回は紹介した神社が多いので『とさみみマップ』に載せておきます。
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