40. ごんげんさんと、ここのえさん

 

岐(ふなと)神社がある、春野町の西畑(さいばた)地区。

『ただ無事を願う』の巻で紹介しました。

くわしくは→コチラ

もう一つ気になる神社があるのです。
『ごんげんさん』とか『不入(いらず)権現』と呼ばれているようなのです。
でも、名前や伝説にバラつきがあって場所が分かりにくい。
しかしどうやら、岐神社の向かいの山にある『森神社』だと思われます。



なぜ気になったのかというと、岐神社の祭神の姉神様といわれていたりするからなのです。
確かに、アマテラスオオミカミとツクヨミノミコトとスサノオノミコトは、兄弟姉妹の神様ですもんね。
神様界ではスタンダードなのかもしれませんが、あまりそこをクローズアップするわけでもないんですよね。
だから、あらためて姉妹の神社などと聞くと興味がわいてしまいます。



森神社は、鼓鳴山(こめいざん)の頂き付近にあるそうです。
『不入権現』という名前の通り、この山は昔は女人禁制だったそうです。
女の人が入ると大雨が降るのだとか。




女心は変わりやすいと言われています。

『ごんげんさん』の心も、少しそういう風だったのでしょうか。
ご機嫌ななめの時に山の下を通ろうものなら、帽子を飛ばしたり、肥の入った桶をかついだ人を転ばしたり!

肥って人の排泄物のこと。

それは嫌すぎるー。



鼓鳴山、実は真夜中に鼓の音が聞こえることがあったそうです。
鼓ということになると、歴史がありそうですよね。
一歩間違うとぽんぽこぽんのタヌキ伝説になりそうですが、そこは風流に鼓で。
真夜中の鼓の音、ちょっと怖そうです。

でも、鼓の音が聞こえる時は、『ごんげんさん』の機嫌の良い時らしいですよ。




いまいち森神社の場所がわからなくて、ウロウロしました。
どうやら鼓鳴山、麓が少し崩れてしまったのか新しい工事のあとがあります。
その新しい階段を登ると細い山道があり、ひっそりと『森神社』の看板がありました。
いやいや、ご機嫌ななめなこともあるし、昔は女人禁制だった神社にはウカウカ入っては行けないです。
チキンだから、今日はここまでにしておこう。




一説には、『ごんげんさん』のご本尊を沖ノ島のたん海という坊主に盗まれてしまい、神社の神力は消えてしまったのだとか。

昭和の頃には、太夫さんが年に三回お祈りに行っていたという事ですが、今はどうなっているのかわかりません。

もう、鼓の音は聞こえないのでしょうか。


鼓鳴山


元々西畑地区に興味を引かれたのは、良い目の神様が座すと聞いたからでした。

義母(78歳)が出産の時に血が止まりにくく、命は助かったけど一時的に目が見えなくなったのだそうです。
出産前に、ちょうどその目の神様の話を聞いていたとのこと。
早速お願いに行ってもらったのだそうです。
その甲斐もあってか、何日かして目が見えるようになったとのことでした。




岐のトンネルを越えてすぐの所、というザックリした説明だったので、岐神社のことだと勘違いしていました。
調べてみると、ありました。
『ここのえさん』という神様だそうです。




場所がわからなくて、またウロウロ。
怪しいったらありません。
鼓鳴山の北側の道を入っていき、民家が途切れた辺りにありました。
祠さんの大きさですが、鳥居もあります。
『九重神社』の文字が。




鳥居も鈴も手作りな感じが、なんとも温かいです。
両側に花を挿すところもあって、菊の花が供えられています。
ちょっと墓所感出てますが、そこもほっこりしてしまいます。

みんなで大切に祀っているのですね。




落武者の九つの首を祀ったという話もあるそうです。

墓所感も、あながち間違っていないのかもしれません。




自分がなっても、周りの人がなっても心配になる目の病気。
(目だけではありませんが)

何かあればよろしくお願いします!
そして、50年前のお礼を言って帰ってきました。




参考文献 / 

市原麟一郎さん編著『伊野・春野伝説散歩』

高知市春野郷土資料館HP 

https://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/20/2019/muse/hanashi/hanashi24.html

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