あなたの知らない四ツ辻の世界・後編


さて、前回書ききれなかった四ツ辻の話の続きです。

風習などを深掘りすると、四ツ辻とは『異界とつながる場所』というとらえられ方なのでは、という話でした。



憑き物と呼ばれるものの中で、高知では犬神の話が多いです。
憑き物系の話は、閉鎖的な村社会っぽいところが好きになれず、あまり詳しくないのです。
でも、古い本で犬神の作り方を読んだ時には衝撃でした。
作るものなのか!と驚き、その作り方の残酷さにまた驚き。
興味ある方は、Wikipediaなどにも載ってます。
個人的にはR指定モノなので、ここでは省略ーー


なんやかんやの工程があった挙句、犬の首を四ツ辻に埋めるのだそうです。
ここで四ツ辻の登場です。
埋めたところをたくさんの人に踏んでもらい、掘り起こしたものを家に祀って出来上がるのだそう。


笹本正治さん著『辻の世界』には、群馬県では猫が死ぬと三ツ辻に埋めていたという話が出ています。
猫は執念深いので、往来の多い辻に埋めて皆に踏み固めてもらう=悪い魂を踏み抑えて追い出す、つまり御霊を鎮める、という意味合いがあったようです。



犬神の話に戻れば、悪い魂は追い出して、でも力は欲しい。
そして、追い出された悪い魂の行き先は異界、ということになるのでしょうか。
それとも、「常世の力をもたらすため」(←しまかよ意見)の四ツ辻なのか。
はたまた、「人々が頭上を往来することで怨念の増した霊を呪物として使う」(←Wikipediaより)ためなのか。
とにかく、四ツ辻に埋められる事によって犬神は完成するのです。



メキシコの悪魔も、四ツ辻に現れるそうですよ



風習をもうひとつ。

『春野町根木谷の真喜子さんが語る「おばやんの知恵袋」』より。



病弱な子供や、親の厄年に生まれた子供を四ツ辻に捨て、「拾い親」に拾ってもらう『捨て子』という風習があったそうです。
子供を大切に思っているからこその儀式なので、もちろん形だけですが。
(高知では『捨て子』と呼ばれていますが、『辻売り』とも言うそうです。)



上にも出てきた『辻の世界』によると、「高知県長岡郡などの珍しい風習」として紹介されています。
「朝早くその子を抱いて四ツ辻に立ち、3番目の通行人にもらってもらうという形をとる。
相手が承知すれば何か身に付けたものを与え、新たに名をつけてやり、ケイヤクオヤになり一生の交際をする。」


現代にはない縁の作り方です。
なかなかリスキーというか・・
おそらく、気心知れた人に頼んで3番目に来てもらったりしてたでしょうね。

でも、一説では犬でも3番目なら権利があるのだそうですよ。


四ツ辻に一度捨られて、新しい親に拾ってもらい名前変えて「生まれ変わる」・・・という意味合いがあったそうです。
一度リセットするイメージですね。
生まれ変わるための舞台としての四ツ辻。
『異界とつながる場所』でなければ、生まれ変わる感じは出せません。



新潟県では、たらいに入れて川に流し橋の下をくぐらせる事もあったそうです。
こちらもなかなかの舞台装置。
川と橋の交差も、辻といえば辻ですもんね。


大人じゃ生まれ変われませんかね?
まっさらに・・・




川と橋の交差で思い出すのは、一条戻橋。
安倍晴明が、式神を橋の下で飼っていたと言われています。
『異界とつながる場所』であれば、召喚していたということになるのかな。
他にも父親が生き返った話とか、鬼女が出た話とか、異界とのつながりを感じさせる話ばかりですね。




厄を流す、力をいただく、そして生まれ変わる・・・四ツ辻パワーすごいです。
辻に立つ、魔物祓いの「石敢當」も気になります。

知らないことって、ワクワクします。

人にとって、辻って何だったんだろう。

いつも通っていた交差点も、ちょっと違う風に見えてきませんか・・・

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