6. 怪異!七人ミサキ

 

高知の伝説の中に、『七人ミサキ』という言葉がよく登場します。
この怪異は、高知だけでもバージョンが色々あります。
ん?これも『七人ミサキ』?と、首をひねることも。
でも、信じられていた頃は、かなり怖かっただろう言い伝えだと思います。



基本的には、野や川で変死した人の霊が七人で彷徨っています。
生きている誰かに取り憑いてその人が死ぬと、七人のうちのひとりが成仏できる。
そして、新たに加わったメンバーと共に七人で彷徨うという怪異です。
霊が人を死に誘うタイプの話は、シンプルに怖いですよね。



長宗我部元親公の後継者争いで自害させられた、吉良左京進さんとその従者七人の話が始まりという説が有力のようです。

左京進さん+従者七人=八人?

なぜか一人減っているようです。
『八人ミサキ』では、不安感が半減するのでしょうか。
それとも、これも怪異なのか・・・
と軽く言ってみましたが、左京進さん、かなり祟ったようですよ。




左京進さんと一緒に元親公に逆らったといわれる比江山掃部介さんも、妻子従者六人と亡き者にされて、こちらはこちらで『七人ミサキ』になったらしいです。
比江山さんは、ちゃんと七人ですね。



桂井和雄さんの『土佐の伝説』には、各地の『七人ミサキ』が出ています。
宿毛市の宇須々木(うすずき)では隠密、中土佐町久礼(くれ)ではお遍路さん、大川村では平家の落人が『七人ミサキ』になったと伝えられています。
バラエティ豊かで、設定もなかなかの怖さがあります。



ミサキという漢字は『御先』と書くらしく、Wikipediaには霊的存在の総称と書かれています。
しかし、中土佐町久礼の話では「七人岬」となっていたりして、変化の仕方が自由だなー。



馬路村の話でも隠密が出てきます。
相手方に捕まった隠密七人が殺され、一人は鼻を削がれて国へ返されたとのこと。
ミサキになった七人を祀った場所を「ハナジョーリ」と呼ぶようになったそうです。
「ハナジョーリ」・・外国の言葉みたいだな、なんて思ったら、鼻を削いだから!
ああ、痛い・・・






そして、これは高知市朝倉で私が聞いた話。
昭和の中頃のこと。
「1月に女の人が亡くなると、七人連れて行く」
と言われていたそうで、ご遺体に男の人の格好をさせて葬儀をしたそうです。
その頃はまだ舗装されてない道路もありましたので、四ツ辻(十字路)に行き、四つの角に穴を掘って7体の人形を埋め、そこで飲んだり食べたり小さな宴のようなことをして帰ってきたということです。
そして、これも『七人ミサキ』と呼ぶのだと話してくれました。


このタイプの話もバージョン違いがさまざまで、「お正月に女の人が亡くなると~」「12月に男の人が亡くなると~」というのを小耳にはさんだことがあります。
高知県各地で言われていたようです。
お棺に七体の人形を入れる、くらいの風習が残っているところはあるのかもしれません。
もう今はしていない、という方も多いと思います。
私も最近まで聞いたことがありませんでした。

詳しくは→ コチラ に書いてます。


『七人ミサキ』
いつ聞いても、嫌な怖さの話です。
七人くらいで連れ立っているグループとすれ違う時に、ちょっと想像してみようと思います。

でも、人里離れたところで七人組と出会うと、逃げだしてしまうかも・・

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