晴れ乞い

 長い雨が降り続いて、一週間以上が経過した我らが高知県。

風呂場の窓の木枠にいよいよカビは生えてくるわ、稲の生育にも影響は出そうだわ、翌日(つまり今日)は飛行場へお客も迎えに行くのに豪雨のお出迎えではたいへん困る。雨だか竜だかもういい加減にせい。

ということで、呪術としてのてるてる坊主を本気で作りました。

呪術?てるてる坊主が?
身近すぎてそんなばかなと思われるかもしれませんけど、これは意外にも歴史ある類感呪術でして。
深夜、誰にも見られないように藁人形に五寸釘を打って人を呪うのか、太陽を模した人形をつるしてなんとか明日1日だけでも晴らしてほしいと乞うのか。これらは表裏一体の行いなんですね。
儀礼に則って、自分の願いを一心不乱にこめること。
問題はそれをどこまで本気でやれるか、いかに念がこもっているのか、につきます。

雨乞いの儀式は世界中にあるけど晴れ乞いってあんまりないそうで。
水害の国・日本にも、雨乞いの寺社は山ほどあっても晴天を乞う寺社は唯一、奈良県にある生蓮寺のみだそうです。

高野山の大きな行事が行われる時は、高野山のお坊様が晴れ乞いの祈願にいらっしゃる程の、霊験あらたかなお寺なんだとか。


さて、正式なてるてる坊主の作り方はこうです。

1、白い紙または布を用意。
2、まるめたティッシュペーパーやピンポンなど丸い白いものに紙または布をかぶせる。
3、針で頭頂部に穴をあけ、糸を通してひっくり返らないようにする。
4、首を白い糸か紐でしっかりくくって、完成。
5、一番肝心なのは、顔をこの時点では書かないこと。

ひっくり返っても、顔を書かれても、雨を願う意味になるといいます。

6、そして太陽の見える南向きの軒下へ吊るします。
(魔除である南天の木があればその枝が吊すのに最もいいという説もあります)

で、とどめに、うちの晴れ男(息子)をつれてきて、皆が知ってる例の童謡の隠れ蓑をかぶった呪歌を一緒に歌いました。わりと雨よりの他の家族は除外。

  てるてるぼーず!てるぼーず!
  あーしたてんきにしておくれ!
  しないと首をちょんぎるぞ!

これ、効果は翌日のみ。
きっちり晴れたら、顔を書いてあげて、お神酒をかけた上で古式に則って川に流すか、お炊き上げ(燃やす)するかします。

今回、長引く季節外れの停滞前線に対して、私、結構キレてます。
やるなら徹底的にやるのだ。
というよくわからない決意のもと、真剣に念をこめて作った二体のてるてる坊主。
不器用なりに丁寧に作っているうちに愛着湧いてきました。
でも、晴れなかったら気は進まなくても宣言通り首をちょんぎるしかありません。
頼むから、晴れろ、切りたくないから。



さて翌日。
まだ暗い明け方四時頃、轟音に起こされました。

家のはるか上空の方から今まで聞いたことのない爆発音が聞こえてきます。
まるで山崩れのような、尋常ではない音をたて、雷と暴風雨が一時間以上続きました。
大きい物音でだいたい目を覚ます晴れ男(息子)はなぜかあんな轟音の中爆睡していたし、娘の方は「花火があがってるみたいな音だった」と証言するし。
雷好きな私でさえ、命の危険を感じるちょっと異様な音でした…。



そして夜が明けたら、雨は去り、晴れ間が覗き、
雨雲レーダー見たら高知県中部は雨雲に囲まれるなか、そこだけぽっかりと穴があくように晴れ間が…。


(朝の時点で確認したとき下の方の雨雲も見えず。)


今日の雨は予報で100%だったんですけど、
見事に覆りましたね…。


午前中の慌ただしい予定を各所無事に済ませて、大量の荷物を抱えて午後に帰宅したあと、お礼を述べて軒下からおろし、親子で顔を書いてあげました。
大きい方は私が、小さい方は息子(生粋の晴れ男)が。

おろしてしばらくすると、また少しの雨。
夕方には止んだので頭から秋葉様の御神酒をふりかけ、
お焚き上げの用意です。


ホームかまどに、我が家で去年収穫した稲藁をのせ。
てるてる坊主を感謝とともにセッティング。

ありがとうー、お世話になりましたー!
と口々に叫びながら、マッチで火を起こし、無事昇天召されました。
燃え上がる様子の写真はさすがにアレなんで自粛します。
さらにこの後、残りの稲藁ぶちこんで鰹のたたきを作りましたがその写真も(以下略

しかし晴れ上がる前の異様な音の雷は怖かった。
これはよほど特別な時でないとできない(やる気がわかない)な…と思ったことでした。

ちなみに、本日は娘の誕生日祝いの日でした。てるてる坊主、ありがとう。

(文・シバテン)





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