1. 蛇も恐れるハイトウサンの謎

「ハイトウサンのお通りじゃ」

草むらを歩く時の、蛇が出てこないおまじないだそうです。
高知市田辺島(たべしま)出身の義母(76歳)が、教えてくれました。
ただ、ハイトウサンとは?と聞いても、昔から唱えているだけで詳しくはわからないとの事。


ハイトウサン? 配当3?はい父さん?


答えは、隼人さんでした。
ハヤトさん→ハイトさん→ハイトウサンと変化したみたいですね。


戦国時代の武将、長宗我部元親公が一目置くくらいの猛者だったという福留親政・隼人さん親子。
田辺島城主だったそうです。


『福留の荒切り』と称されるほどの活躍を見せた親政さん。
元親公が出した禁酒令を、庶民のために解かせた隼人さん。
その隼人さんのことだったんですね。
今は、田辺島城のあった山の上の『福留隼人神社』に、親子で祀られております。


その地域では、「蛇もハミもそっち寄り ハイトウ様のお通りじゃ」と童謡にまで歌われていたそうです。
蛇もハミ(マムシ)も恐れて近づかない武将、か・・かっこいい。




今は血清があるのですが、昔はマムシに咬まれたら大変だったはず。
どうしていたんだろうかと、図書館で『民家日用廣益秘事大全』という本を調べてみました。
江戸庶民の生活便利帳だそうです。
なかなか興味深いことが書かれていますよ。


柿渋を塗る、猪の肝で作った粉を付ける、などいくつかの対処法が出ています。
中には、鉄砲の火薬を盛って火を付け、お小水で洗って、糞を付ける・・・なんてのも!
親切でしてくれる治療が、これでは罰ゲーム。
泣きっ面に蜂とは、このことでしょう。
よいこは真似しないように。


ちなみに、マムシに咬まれた時の痛み、どれくらいを想像しますか?
聞くところによるとチクッとするくらいで、マムシの姿を見て初めて咬まれたと気づくくらいだとか。
栗拾いをしていた人が咬まれてしまい、イガで刺しただけだと思い腫れてくるまで放置してしまった、という話も聞きました。
もっとガブっと咬まれた感触があるのかと思ってましたが、違うようですよ。


しかし、やっぱり咬まれないに越したことはないですね。
そんな時は、このおまじない。
さあさあ、ハイトウさんのお通りじゃ〜!

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