2022年お正月、とある家に飾られたしめ縄にニンニクが付けられていました。
しめ縄にオリジナルで何かをプラスするのも珍しいし、それがニンニクというのも気になります。
玄関先に付けるといえば、やっぱり魔除けという意味合いでしょうか。
ドラキュラ伯爵の弱点はニンニク、というのを思い出しました。
調べてみると、出てくる出てくる。
北海道や群馬では玄関に吊るすそうですし、長野ではお守りの中に入れて持ち歩くと魔除けになるといわれていたそうです。
日本各地でニンニクパワー炸裂!
しかも、除けるのは魔だけではない。
流行病にかからない!
ドロボー除けの効果まで!
疫病除けの言い伝えは色々あるようで、島根県隠岐では戸口に吊るしたニンニクを手に取って嗅いでから中に入ると病気にならないといわれていたとか。
昨今のアルコール消毒と同じ働き。
スーパーの入り口でニンニクを手に取って嗅ぐのを想像してしまいました。
『古事記』にもあるんですよね、ニンニクエピソード。
ヤマトタケルノミコトが、クマソ平定の旅の帰りに足柄山の坂の下口で食事中、白鹿が現れます。
これは、山の神が化けたものでした。
怪しいと思ったミコトは、食べ残しニンニクを投げつけます。
すると、ちょうど白鹿の目にあたり鹿はパタリと倒れました、というもの。
この話のニンニクは、ノビルとも言われています。
ニンニクは漢字で大蒜、ノビルは野蒜なので近い仲間なんですね。
山の神も、ニンニクが苦手かしら?
ドラキュラの話もそうですが、どうやらニンニクに魔除け効果があるといわれているのは日本以外でも。
ヨーロッパでは、失くしものは魔女が隠すといわれているらしいですね。
魔女もニンニクがお嫌いらしく、「ニンニクニンニク・・・」と呟きながら探すと出てくるらしいですよ。
♪ニンニクニクニク、ニンニクニクニク・・・
『西遊記』のメロディに代わりそうな予感しかない。
ああ、昭和世代。
ところで、ニンニクって禅宗では食べてはいけないもののひとつなんですってね。
ネギ・ラッキョウ・ニンニク・タマネギ・ニラは、精進料理では避けられるんだそうです。
魔除けであるのに、除けられる。
これ如何に。
少し前まで、農家の重要な働き手が亡くなってしまった時に、その家の畑に植えられているネギ・ワケギ・ニンニクなどを根絶やしにする、という風習が高知にはあったといいます。
精進料理には使わないのと同じ考え方から出てそうなんですけどね。
なぜなんだろう。
風習って理由とか説明がなかったら、少し不思議な行動が多いですよね。
しめ縄にニンニクをプラス |
調べていく中で、何気なくみていたWikipedia。
ブラジルの「偉大なるニンニクのスペシャリスト」の一人として上がっていた名前が、カルロス・トシキ・・・うお、あのカルロス・トシキさん!?
そう、カルロス・トシキ & オメガトライブのカルロスさんでした。
え?『君は1000%』、知りません?
日本での歌手活動の後、ブラジルに帰って大学でも学び、一旗あげたんですね。
カルロスさんの開発した種苗で、ブラジルのニンニクの品質が大幅に良くなったのだとか。
透明感のある歌声が、脳裏によみがえります。
♪君はセンパーッセン・・・・
ああ、昭和世代。
参考文献 / 鈴木棠三さん著『日本俗信辞典〜植物編〜』
桂井和雄さん著『生と死と雨だれ落ち』
福田清人さん著『古事記物語』
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