47. 仁淀川町、椿山の虫送り

仁淀川上流の池川町のさらに北へ。
車でのすれ違いは困難な山道をひたすら進むと、そこは椿山。
いまや住人は一人の超限界集落ですが、この虫送りの祭りには方々からやってきて太鼓を叩き鐘を鳴らします。役場の若い衆もだいぶ力を貸しているようで、伝統文化継承に尽力する皆様には本当に頭が下がります。


太鼓を叩き、鐘を鳴らし、小豆三合、米三合。とふしぎな節回しの唄を歌う。

お寺境内ご神木前での舞が終わったら、ここからが大変。
この重い太鼓担いで鳴らしながら、集落を一周する。
山奥の集落は一周するのにすべて階段使う。
登って、登って、登って、
途中で膝が痛くなるような急な下りを降りて、降りて、沢までくだる。
山の中の冷気が気持ちいいとは言え、蒸し暑い6月の午後。なかなかしんどい。
しんどいが、どんどんいう太鼓の鼓動のようなリズムにあわせて、渡された「南無阿弥陀仏」と墨で書かれた拍子木をかんかん鳴らしながら、何者かに背中を押されるように、途中で脱落する人も出ず、行をこなすように全員が粛々とついていく。


(※私は体力の限り叩いてたのでこちらの参列中の写真は、片手間に登山できる家族が撮影)

ここに立ち会ったからには、ただの観客でいてはもったいない。
そもそも、人手が足りない。
拍子木を鳴らすことで「虫」はこれにつき、沢の吊り橋まで連れて行かれ、仕上げに拍子木ごと沢の流れへと投げ込まれ、そうやって一年の作物の無事を祈る、というこの儀式。
立ち会った全員が参加者なのです。いや、参加者のはずだった、というべきか。


 一般公開は三年ぶり。三年も経てば人の出入りもあるし、継続できるのだろうか、という懸念は現地で立ち消えました。むしろ三年前より人、多い。
テレビ局、ラジオ局、そして大勢の素人カメラマン…。

残念なのはこの素人カメラマンたち。
虫送りの太鼓行列に続いて拍子木を叩いて協力するどころか、拍子木行列の先頭に陣取ってひたすら喋りながらシャッターを切り、進行を邪魔しているのも気づかなかった。
久々の祭りでテンションあがるのはわかるが、そんなにいるなら叩こうよ。
叩かないなら、この行列で一生懸命拍子木かんかんしてる参列者の前に割って入るんじゃないよ。あんたのでっかい機材が後ろの参列者にぶつかっとるやないか。神事中にぺらぺら甲高い声でくっちゃべるな。舞い上がる体力あるなら、そこのしんどそうな子ども達の拍子木、かわりに叩いたらどうや。

鉄道にもいる、こういう迷惑行為カメラマン、こんな田舎のちいさな祭りにも出るようになったか。それともこのおばちゃんらがいわゆる「虫」憑きだったか。下りがきつくなるにつれだんだん静かになったから、そうかもしれない。そういうことにしておこう。

清流近くの岸辺で、仕上げの太鼓踊り。

さいご、私は水切りの要領で思い切り遠投。
適当に落とすと岩に引っかかり、次に大水が出るまであのままになる。


また来年も無事虫送りができますように! カメラ小僧の皆さんも来年は叩いてね、拍子木。




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