29. ヨネス柿、おかわりの巻

 

少し前に、『根性の悪さを診断する柿』として紹介した、米助さん家のヨネス柿。

甘いのと渋いのが、食べてみないと分からない、ロシアンルーレットな柿なのです。

『#根性の悪さ診断』の巻は、こちら

新しい情報をいただいたので、さっそく続編です!




おさらいします。

いの町池ノ内地区に、30年ほど前まで大きな大きな柿の木が2本生えておりました。
樹齢300年以上と言われていて、幹もそれは大きかったそうです。
柿の木でそこまで大きくなるのは珍しく、町の文化財になっておりました。

しかし、さすがのヨネス柿達も年を取り、一本は台風で、一本は老齢により倒れてしまったのだそうです。



柿というのは、畑や山よりも家に近いところにあることが多いように思います。
サザエさんなど古めな昭和的漫画でも、柿を取ろうとして「こりゃ~」な展開が定番というか。
そして現在、柿は人気の果物、というわけではありません。
しかし、スイーツがすぐに買えるわけではなかった頃は、柿の満腹感のある甘さは嬉しかったのではないかなと想像します。



とにかく、ヨネス柿は2本とも民家の近くに立っていたのだそうです。
どっちの木も幹の周りが2.6mくらい、樹の高さは10m以上だったという大木。
それが突然倒れる・・・それは、もはや災害レベル。



で、1本目のヨネス柿。
こっちに倒れたら民家直撃というところを上手く避けて、お行儀よく畑に倒れたのだそうです。
直撃されたことを考えるとゾッとします。
民家の方は、どれほどほっとしたことでしょう。



もう1本のヨネス柿はが植わっていたところは上の方で、一段下に民家が、もう一段下は畑になっているようなところだったそうです。
ここで奇跡が起こります。
どういう形だったのか民家の上を上手く通り過ぎ、もう一段下の畑に倒れたのだそうです。
そんな大きな木が、被害を出さずに倒れるなんてすごい。
300年間、地域の人たちが大切にしてきたからなのでしょうか。
昔話のような話ですが、地元の方に教えてもらったので本当の話です。貴重!



もうひとつ、地元で言われていた話も教えてもらいました。
ヨネス柿は、雨が降ると甘くなり、次の雨で渋くなると言われてたとか。
それほど甘いのと渋いのが見分けにくいんでしょうね。
根性が悪いからだと言われるよりは、いいです 笑。






高知の民俗学には欠かせない市原麟一郎先生も、『伊野・春野伝説散歩』という本の中で、ヨネス柿について書いてました。
ごく限られた人しか知らない柿があるということで、池ノ内に行かれたという話です。



まだヨネス柿が、元気にたくさん実をつけていた頃。

この本の説明では、元々は野生の柿だったとなっています。


米助さんが、山の中でまきを切っていたら大きな渋柿を見つけました。
まだ青い柿ですが、米助さんはどうしても食べたくなりました。
誘惑に勝てずガブリといってみますと、これがあごが落ちるくらい美味しかったのです。
そこで、その柿を家の前に植えかえました・・・


と、地元の方が説明してくれたそうです。
今、看板に書かれてある話とだいぶ違います。
さてはて。



何はともあれ、言えることはひとつ。

食べた柿が甘かった・・・
つまり、米助さんは根性が悪くなかったということですね。



ヨネス柿の味についても書いてあります。
「ヨネス柿は、柿の王様じゃ」
「ねっとりと舌にもくいつくような甘さで、ほかの柿を食ったら、水っぽく思える」
おお、豊かな表現。
ちょっと興味出ませんか?
今でも、ヨネス柿は美味しいと、食べた人は言います。

ただ、渋いのもあるってだけの話で・・・(それが大問題 笑)



当たり前のことですが、これが市場に出回らない理由なのです。
渋柿ばっかりの可能性もあるのなら、商品にはなりませんよね。




あ、柿の木で思い出したことも書いときます。
柿の木は、折れやすいので登っちゃダメですよ!




さて、2021年も終わりです。
4月から始めたこのブログ、ご拝読いただきありがとうございました。
また来年も色々探っていくので、どうぞよろしくお願いいたします!
良いお年を~~

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