りゅうきゅうは、盗んで植えんとありつかん ──────
田舎に伝わる俚言には、ときどき物騒なものもあります。
コンプライアンスが厳しいこの頃。
こんなこと子供に教えたりなんかしたら、大問題になりそうな予感。
まず、りゅうきゅうというのはハスイモという植物のことです。
高知では、割とメジャーな食べ物です。
茎がスカスカとスポンジ状になっているのですが、その部分を酢の物などにします。
高知には、日曜市などで人気の『田舎寿司』なるものがあります。
にぎりのネタが、ミョウガやたけのこなどの山の幸です。
りゅうきゅうは、その田舎寿司の定番メンバー。
田舎寿司は酢がよく効いているので、思い出すだけでよだれが。
手間のかかった田舎寿司は、見た目もとてもきれいです。
高知に来られた時は、ぜひ。
りゅうきゅうの季節は、夏から秋にかけて。
絵本などでカエルさんが傘の代わりにする大きな葉っぱ、あんな感じです。
スーパーなどでは切って売られていますが、日曜市などでは長いままだったりします。
小脇に何本かかかえて歩く姿はちょっと不思議な光景ですよ。
つい最近、高知県西部のスーパーで『ついも』と書かれているのを発見。
高知全域で『りゅうきゅう』かと思ってました。
そんな呼び方もあるんですね。
そのりゅうきゅう、盗んで植えないとありつかないって言われているんですって。
「ありつく」というのは、根付くという意味です。
盗んで根付くのなら、普通に植えてもいけるだろう・・・
しかし、昔から言われているからと、小芝居が行われたりするんですよ。
「りゅうきゅう、もろうてもかまん?」
と先に断っておきます。
そして、誰もいない時間にこっそりいただいていく。
いったい、何に対するアピールなんだろう。
神様か?りゅうきゅうか?
少し前にもその寸劇が行われているところを目撃。
「じゃあ、後で盗ませてもらうき」
あの“盗んだ”りゅうきゅう、ちゃんと根付いたかしら。
なぜ、そんな俚言ができたのでしょうか?
俚言には、おまじないっぽいものもたくさんありますよね。
ムカデが出たら唱える呪文とか。
りゅうきゅうも、ただのおまじない?
そう思ってりゅうきゅうを観察してみると、家の裏手とか、陰地ではない谷間とかに植えられていることが多い。
自分の家で食べる分だけなのでしょう、ひと株だけポツンと植えられていたりします。
逆に日当たりが良すぎるところのものは、葉っぱが黄色くなっているような。
つまり、りゅうきゅうはコソコソした場所がお好きなのか??
盗んできたら、ひと目につかない場所に植えますよね。
それこそ、家の裏とか。
高温多湿で育つりゅうきゅう。
ひっそりした場所が合っているということなのか。
『盗んで植えんとありつかん』
つまり
『盗んできた気持ちで植えると良い』
ってことを伝えたかった?
ふふふ、あくまでも、仮説なんですけどねー。
夏に気持ちよく食べられるりゅうきゅう。
タチウオと相性抜群らしいです。
りゅうきゅうは、クワズイモの葉っぱとよく似ています。
クワズイモは毒草なので絶対間違えないように!
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