21. お月さんももいろ


二日後の満月は『ピンクムーン』だと騒がれていた4月終わり。
潮は、最高の大潮。
これは磯遊びに出かけねば。
高知県の中でも、とりわけ海が綺麗な大月町へ!



浜辺を歩いていたら、小さいけれども怪しい物を発見。
海藻のこびりついたグレーっぽい物体。
動物の骨のようであり、金属のような重さであり。
海遊び歴は長い一族なのですが、みんな首をひねります。




捨てるか、持ち帰るか・・・。
骨だったら気持ちが悪いし・・・。
一番若い甥っ子の「珊瑚じゃないか」の一言で、みんなの目の色が変わりました。




家に帰って触ってみたり、匂ってみたり、グーグルで調べたり。
とうとう、少しやすりをかけてみました。
赤色です!うぉぉ珊瑚確定。
白くなった珊瑚はよく見かけますが、赤は初めて。
小さなカケラでも、珊瑚となるとワクワクするものですね。







ところで、『お月さんももいろ』という歌があります。
ちょうど珊瑚を見つけた大月町小才角あたりに、古くから伝わっている歌です。



お月さんももいろ
だれが言うた 

あまが言うた
あまの口ひきしゃけ



なかなか物騒な歌です。
江戸時代、珊瑚はご禁制の品のひとつ。
土佐では珊瑚が採れることは秘密中の秘密だったようです。
採ってもいけない、拾ってもいけない、口に出してもいけない。



カケラを拾っても言いたくなるのに。
口なんか閉じてられない。
ひきしゃかれたくないけど、しゃべりたい。




この歌を元に、松谷みよこさんが絵本を作られています。

『お月さんももいろ』

歌がネガティブですから、やはり少し悲しいお話です。

悲しくて美しい絵本、よかったらぜひ。




歌の中の「お月さんももいろ」が「お月灘ももいろ」だという説もあります。

小才角あたりの海を、お月灘と呼んでいたそうです。
お月灘が桃色に輝くほど、珊瑚が透けて見えていたのでしょうか。




明治維新でご禁制が解けてから、大月町では珊瑚漁が盛んに行われたそうです。
乱獲により、ほぼ中止になってしまったようですが。

温暖化など、珊瑚には厳しい状況の昨今。

綺麗な海こそ宝物。
豊かな海でいてほしいものです。




ももいろお月さん(ピンクムーン)が昇る頃、『お月さんももいろ』の歌が伝わる浜で、珊瑚のカケラを見つけたお話でした。

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