45. 福を呼ぶ?ナギの木の話


縁起ものとして人気のあるナギの木。
海人に絶大な人気を誇っているは、知っていました。
穏やかな海、凪に通じる名前ですもんね。
昔から、海難避けと豊漁のご利益があると、漁民の方々に人気だったようです。
ナギの枝を船に乗せておくと、遭難避けの守り木になるのだそうです。




高知には、ナギの木の漁民人気を不動のものにする昔話があるんです。

高知市より東に車で1時間ほどのところにある、安芸市に残るお話です。




昔、金二という漁師がおりました。
ある時、仲間と漁に出て嵐に遭い、船が転覆。
泳ぎに自信のない金二は、無我夢中で波間を漂っていました。
その時、笹のような葉をつけた小枝を見つけてしがみつきました。
それはなんと、金二が日頃信心している、波切り不動明王のご神木のナギの枝だったのです。
こうして、仲間の中で金二だけが助かったのでした。


ご神木のナギの木



そして、このナギの木が衝撃的な形で残っているんですよ。
なんと、国道の真ん中。
昭和44年に国道五十五号線拡張工事の時に取り除かれそうになったのを、地元の方々の努力で残すことになったんだそうです。
道の真ん中に神社がある風景って時々見ますよね。
でも、国道の真ん中というのはここだけなんだそうですよ。




樹齢400年ほどといわれるナギの木。
金二さんの話も地元の方々の話もステキで、ここを通る時はちょっと胸アツなんです。



構図が下手すぎですが、道の真ん中にナギの木



ところで、ナギの葉って、葉脈が縦方向しかないのだそうです。
なので、横に引っ張ると切れるのですが、縦に引っ張るとなかなか切れないのだそうです。
このことから、縁結びや夫婦円満の木ともいわれているのだそうです。



今度は、夫婦円満の木にふさわしいエピソード。




南国市久礼田にある熊野神社のナギの木です。
神社のそばの観音堂をはさむように、2本のナギの木があります。
江戸時代初期、この辺りに住んでいた二代目北村藤兵衛さんが、妻と熊野参詣に行きました。

その帰り、熊野三山のご神木のナギの枝を、二人で杖にして持ち帰ったのだそうです。

そして、その杖を境内につき差しておいたところ芽生えたといわれているそうです。



持ち帰った杖から育ったといわれるナギの木


夫婦で持ち帰った杖から育った2本のナギの木。
残念ながら、片方が平成25年に老木のため枯れてしまったそうです。



残念ながら、枯れてしまいました


ちょっと寂しい気がします。
でも大丈夫。
境内には、ナギの子供たちがそこにもここにも。
スクスクと育っていました。



ナギの子供



ナギの木の不思議な魅力、興味が尽きません。
和歌山の熊野速玉大社のご神木は、平重盛が手植えしたといわれているそうですね。

それは拝んでみたい。

そして、ナギにあやかりたいですね〜




参考文献 : 広谷喜十郎さん著『土佐史の神々』

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